危険物取扱者試験シリーズ 物理学化学 化学計算のポイントと問題解説編

目次

化学計算の基本ポイント

化学計算は、化学反応式や質量、モル数、気体の体積などをもとに正確な数値を求める重要なスキルである。特に理論酸素量や気体の体積を計算する際には、次のポイントを押さえておく必要がある。

ポイント1: 化学反応式を正確に理解する

化学反応式は物質の反応の割合を示している。係数はモル比を表しており、反応に関与する物質の量的関係を把握するための基盤となる。例えば、

この反応式では、エタノール1モルが完全燃焼するのに酸素分子が3モル必要である。

ポイント2: モル数の計算

物質のモル数は、与えられた質量をモル質量で割ることで求められる。

モル質量は、各元素の原子量を分子内の数に応じて合計した値である。たとえば、エタノール (C₂H₆O) のモル質量は次のように計算する:

ポイント3: 標準状態での気体の体積

標準状態 (0℃, 1気圧) では、1モルの気体は約22.4Lの体積を占める。この関係を用いて、気体のモル数から体積を求めることができる。

ポイント4: アボガドロ定数

アボガドロ定数 ($6.022 \times 10^{23}$) は、1モルの物質中に含まれる粒子の数を表す。この値は、化学反応における分子や原子の個数を計算する際に必要である。例えば、1モルの酸素分子 (O₂) には、$6.022 \times 10^{23}$ 個の分子が含まれる。

問題解説

問題35: エタノールの完全燃焼に必要な酸素量

問題:エタノール (C₂H₆O) 10g を完全燃焼させるのに必要な理論酸素量 (O₂) は何リットルか。ただし、0℃、1.013 × 10⁵Pa (1気圧) とする。

解法

  1. 化学反応式の確認この反応式から、エタノール1モルに対して酸素分子3モルが必要である。
  2. エタノールのモル数を計算 エタノールのモル質量は46.g/molであるため、
  3. 必要な酸素のモル数を計算 モル比より、酸素のモル数は
  4. 酸素の体積を計算 標準状態では1モルあたり22.4Lの体積を占めるため、よって、必要な酸素量は約14.6Lである。

問題36: ガソリンの燃焼に必要な酸素量

問題:ガソリンの平均組成がC₇H₁₆であるとすれば、空気1Lに何gの蒸気を混合させて完全燃焼させるか。ただし、空気中に酸素が20%含まれるものとし、0℃ 1気圧とする。

解法

  1. 化学反応式の確認 ガソリン (C₇H₁₆) の燃焼反応は次のようになる:この反応式から、ガソリン1モルに対して酸素分子11モルが必要である。
  2. 酸素の体積を計算 空気1L中の酸素量は
  3. ガソリンのモル数を計算 酸素1モルは22.4Lであるため、0.2Lの酸素はガソリンのモル比より、必要なガソリンのモル数は
  4. ガソリンの質量を計算 ガソリン (C₇H₁₆) のモル質量は100.2 g/molであるため、よって、必要なガソリンの質量は約0.08gである。

化学計算では、基本的なポイントを正確に理解し、ステップを一つずつ丁寧に進めることが重要である。アボガドロ定数や標準状態の概念を活用し、効率的に計算を行おう。

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